HHKBにトラックポイントを内蔵する方法 その8 - パームレストの作成
2018/04/07
PFUのHappy Hacking Keyboardにトラックポイントを内蔵してみたので、その方法を紹介したいと思います。REALFORCEやMajestouchでも同様のことができると思います。
- その1 - 前提と方針
- その2 - トラックポイントの取り出し
- その3 - 穴開け加工と配線バイパス
- その4 - トラックポイントの設置
- その5 - クリックボタンの設置
- その6 - USBハブを内蔵して1端子に集約
- その7 - DIYのこだわりでクリックボタンの再加工
- その8 - パームレストの作成
- その9 - かえうち の内蔵化
今回はパームレストの作成です。 一気に見た目と使い勝手が向上しました!
準備
パームレストに求める機能
私のキーボードの使い方ではパームレストは必須です。
まず、キーボードをほぼ常に膝に置いて使うので、パームレストが無いと手のひらを宙に浮かせた状態でキーを打たないといけません。
さらに、基本的にキーボードを使っているときは手のひら(手首のすぐ上の部分)を常にパームレストに密着させたまま入力します。キーボード配列に「飛鳥カナ配列」を使っていることもあって、ホームポジションから手を動かさなくても(密着した手のひらを移動させなくても)ほぼすべての文字や数字,機能キーを入力できるからです。この方が長時間入力しても腕が疲れにくいですからね。
この使い方なので、パームレストが必要なことはもちろん、ただ机に置くだけのパームレストではなく、キーボード自体に固定されていないといけません。そしてこの連載のそもそもの目的、トラックポイントのボタンもパームレストに設置することになります。
材料選定
トラックポイントボタンの設置と、キーボード本体への固定という加工が必要なので、加工性の良い木をメインに考えます。
PFUからHHKB用のパームレストも販売されていますが、価格が高い上に塗装済みなので加工するには向きません。
加工せず机に置いて使うならアクリル製とかカッコ良さそうなんですけどね。
ホームセンターで適当な木を買って、ちょうどいいサイズに加工することを目指します。
パームレストの作成
木の調達
まずは木の調達です。幅や奥行きは後で切断できるので、厚さが合うものを中心に探しましょう。
公式のパームレストはウッド13.5mm,アクリル15mm,レザー15.5mmです。近い高さの物を置いて試した結果、15mmがちょうど良かったので15mmの木材を探しました。
木の切断
切断加工はノコギリでもできますが、綺麗にカットするのは結構大変なのでホームセンターの木材カットサービスを利用すると良いと思います。私も今回有料カット加工をしてもらいましたがちょっと失敗しました。
「数mmの誤差が出る」と言われたので、幅も奥行きも5mm程余裕をもってカットしてもらいました。が、カットされた木材を測ってみたら依頼通り1mmの誤差も無く完璧でした。奥行きは多少大きくても問題ありませんが、幅がはみ出すのは見た目も使い勝手も良くないので自宅で再カットしました。5mmだとヤスリで削るには厚すぎたし、かといってノコギリで切るのもなかなかに大変でした。
奥行きは公式パームレストの66mmよりやや大きい70mmになりました。これは結果的には良いサイズでした。
手で触れる物なので角はある程度面取りしておきました。角をどこまで削るかなどは好みです。私はあえてほぼ直角のまま残しました。
トラックポイントボタン用加工
トラックポイントのボタンを設置するための加工をします。ボタンをそのまま木に乗せても動作しますが、Spaceや変換を押すときに親指が当たりにくいように、やや低い位置に設置した方が使いやすいです。設置場所をノミで低くしました。
さらに、ボタンから伸びるフレキシブルケーブルが本体に入るまでの経路もノミで削って確保します。フレキは結構繊細で、簡単にボタンが効かなくなってしまうので余裕を持った加工にしました。
これでパームレストの加工は完了です。ボタンを木に貼り付ければ完成です。
ただこれではキーボード本体に固定されていませんし、たとえ膝の上で使わなくてもボタンのフレキだけで接続されているという危険な状態になります。フレキを痛めないためにもパームレストの固定は必須ですね。
パームレストとキーボード本体の接続
パームレストとキーボード本体の接続方法は結構悩みました。安定して長く使うには金属で接続するのが一番だと思います。
悩んだ結果、ジョイント金具で裏面を繋げることにしました。ジョイント金具はホームセンターで調達しましたが、おそらくこれと同一品です↓
これを、キーボード側はM4のトラスねじ(頭の低いねじ)とナットで固定、パームレスト側はM4のトラスタッピングビスで固定します。
キーボードの足に干渉せず中の部品にも当たらないように、この位置に穴を開けました。
内部の空間にはあまり余裕がないので、内側もできるだけ頭の低い部品を使いました。ネジの長さもギリギリです。プラスチックフレームの厚さは約3mmなので、金具とワッシャーを含めて留められる長さにしました。
キーボード側を固定したらHHKBを組み立て、それからパームレスト側を固定します。
使用感のある写真ですみません…
同じステンレスのトラスねじ/タッピングビスにしたので、結構綺麗な仕上がりになりました。固定は結構頑丈でかなり安定しています。トラックポイントボタンも固定されたのでフレキに負担がかかる心配もなくなりました。
難点は裏にネジの頭が露出していることで下に置いた物を傷付ける可能性があることです。カバンに入れて持ち運ぶときは要注意です。
キーボードが大きくなったので、後の足の小さい方を立てればノートPC(ThinkPad X1 Carbon)の上に置いてもノートPCのキーボードが押されることなくHHKBが使えるようになりました。ただ、USB端子が画面に当たるのでL字コネクタを使った方がいいです。
まとめ
目標としていたクオリティ&使い勝手に十分到達したので、連載はこれにて完結です。
トラックポイント付きHappy Hacking Keyboardは素晴らしく使いやすく、ほぼこのまま販売しても欲しい人たくさんいるんじゃないかと思います。何せ一番大変なのは「どうやって加工するか」の部分ですからね。
- その1 - 前提と方針
- その2 - トラックポイントの取り出し
- その3 - 穴開け加工と配線バイパス
- その4 - トラックポイントの設置
- その5 - クリックボタンの設置
- その6 - USBハブを内蔵して1端子に集約
- その7 - DIYのこだわりでクリックボタンの再加工
- その8 - パームレストの作成
- その9 - かえうち の内蔵化