キー配列カスタム屋のキーボード選び その2 - キーボードの絞り込み
2018/04/07
大量に文章を入力していると指が痛くなってきたことから、キーボードの新調を検討しました。まさかの消去法で選ばれたのは憧れのあのキーボードでした。
前回整理した条件に従って、条件に合うキーボードを絞り込んでみました。
キーボード選定 ― スイッチ構造で絞り込み
まず親指シフトがしやすいようにキー荷重が軽いキーボードを考えてみましょう。軽く楽に押せるキーボードとなると、キーを底まで打たなくても打鍵として認識される方がいいでしょう。
主な3種類のキーボード方式をおさらいしましょう。
そもそものスタート地点が、メンブレンの底打ちによる指の痛みの軽減なので、メンブレン方式は外します。PCショップで色んなメンブレンキーボードを触ってみましたが、やはり好みではありませんでした。メンブレンの中では今まで使ってきたトラックポイントキーボードが最もマシなレベルです。
すると残りはメカニカルか静電容量無接点になります。高価になりますが、今の生活で最も長時間触れている物質なので掛ける価値はあるでしょう。
荷重は軽い方がいいので、REALFORCE(静電容量無接点)のALL 30gが最軽量。次点はメカニカルのチェリー赤軸か青軸(45g)、REALFORCEの45g。それにHappy Hacking Keyboardも静電容量無接点のものは45gのようです。
「うるさくない」という条件があるので、より静かな静電容量方式が一歩リードです。
キーボード選定 ― キー配列で絞り込み
親指キーの制限が厳しいので、ここで多くは脱落してしまいます。
まずは親指シフトなので当然ですが、JIS配列である必要があります。変換キーが必要ですからね。US配列しか用意されていないキーボードはここで脱落です。
静電容量無接点
東プレ
かなりの有力候補(というか本命)だった東プレ「REALFORCE」シリーズがここでリタイアです。
REALFORCEシリーズは標準配列にかなり忠実なので、変換キーやひらがなキーの幅が大きく、右Altがかなり右に配置されていました。REALFORCEには特殊配列モデルなども無いので、残念ながら条件に合いませんでした。
REALFORCEにあってHHKBに無い、荷重ALL 30gの軽さを体験してみたかったんですけどね。テンキーレスがあったり、Pauseキーなどのレガシーキーがあったり(たまに使います)と結構いい線いっていたんですが、親指キーの優先度はかなり高いので仕方ありません。
PFU
同じ静電容量無接点だと、PFUの「Happy Hacking Keyboard (HHKB)」があります。
HHKBはかなりのコンパクトサイズなので、親指キーも幅を取る余裕がありません。最下段はREALFORCEの10キーに対して、HHKB JPは13キーあります。そのお陰か、親指キー群の配置は完全に理想通り! これなら今まで通りの使い勝手で親指を活用できます。
HHKBの静電容量無接点方式は、以前触ったことがあり、そのキータッチに感動したものです。柔らかで素直、そして軽い。キータッチはほぼ私の理想通りです。打鍵音はパンタグラフ構造ほど静かではありませんが、気になるほどでもなかったので問題なしです。持ち運びを考慮してREALFORCEより軽いというのも、膝上での使用では利点になります。
一方で難点がいくつか。
まずカーソルキーの位置に問題ありです。US配列の「HHKB Professional 2」はカーソルキーが無いのでむしろ問題ありませんが、JPでは無理にカーソルキーを入れたために、文字キーと右Shiftの間に↑が割り込んでいます。右Shiftを常用する者としては、間違えて↑を押す可能性が高く不便です。ディップスイッチでカーソルキーを右Shiftなどの修飾キー類に置き換えることもできますが、右Shiftが小さく二つ並ぶのもそれはそれで気持ち悪いです。
そしてUS配列と同じサイズにカーソルキーを入れ込んだ結果、Zの列のキーが通常のキー配列より4分の1キー分左にズレています。こちらは気になる人が結構いるようですね。1キーより小さい幅のキーを使わずにカーソルキーを入れるにはこうするしかなかったのでしょうが、文字キーの並びが通常と異なるのは問題だと思います。JP配列を買う客層を考えるとカーソルキーを入れたかったのでしょうが、これならいっそUS配列のようにカーソルキー自体が無い方が良かったように思います。
まぁたしかに難点もあるにはあるのですがどれも致命的ではなく、静電容量無接点のタッチ感の良さがあるのでHHKB JPは生き残りました。
メカニカル
選択肢の多いメカニカルキーボードでも、親指キーの並びを限るとほとんどありません。
FILCO
定番のFILCO「Majestouch」シリーズでも、標準モデルはスペースキーが大きすぎてダメ。たいていの標準配列は下段に余裕がありすぎてダメですね。ノートPCのようにカーソルキーを文字キー部に入れ込んだタイプでないと、私が理想とするような配列にはならないようです。
次はHappy Hacking Keyboardの対抗として出された(であろう)MajestouchのMINILAです。
こちらは残念なことにスペースの両側にFnキーが鎮座してしまっています。しかもFnは他のキーとも入れ替えられないという残念さ。こんな良い場所に置くキーがカスタマイズできないなんて、この手の玄人向けキーボードとしてはもったいなさ過ぎます。
カーソルキーの位置とZ列のズレはHHKB JPと同じ問題を抱えています(というかほぼパクリ)。さらにどうやら変換キーが単独キーで用意されていないので大問題です。
ということでFILCOのMajestouchシリーズはあえなく脱落です。
Razer
他にはRazer(オリジナルスイッチ採用)のテンキーレスがかろうじて条件をクリア。
Razerのキーボードは近くのPCショップに置いてあったので触ってみたのですが、残念ながら以前触ったことのあるHHKBのタッチ感には勝てそうもありませんでした。チェリー赤軸に相当する軸(オレンジ軸)が最も良かったんですが、それでも静電容量式のスコスコと落ちるような感触には敵わなさそうです。軸のブレが大きく、カチャカチャした打鍵音も気になります。
それに、調べてみると現行テンキーレス品に採用されている軸はRazer製緑軸(特性はチェリー青軸に準じる)のみのようです。チッチッチッとクリック音がうるさいので却下です。というか正直Razerのデザインが受け入れられなかった方が大きいです。別にゲーマーじゃないですし。感性に合わないものは長く使えませんしね。
Owltech
Owltechのメカニカルキーボードもギリギリで親指キー位置をクリアしていますが、テンキーレスだとCherry青軸のみなので、これもチッチッチッとクリック音がうるさいタイプ。家で一人で打つならまだしも、職場やましてカフェなんかでは使えません。
「親指キーの位置」「クリック音無し」「テンキー無し」という条件に合致するキーボードは、メカニカル方式にはありませんでした。
まとめ
この時点で候補に残っているのは、HHKB Professional JPのみとなってしまいました。つまり、まさかの消去法でHHKBに決まってしまいました。親指キーで絞るとほとんど選択肢が無くなってしまうんですね。
前回ちゃんと条件を整理していたお陰で、すんなりとキーボードが決まりました。ちゃんと手順を踏むことも重要ですね。
次回はちょっと脱線してエルゴノミクスキーボードに触れてみたいと思います。