キー配列カスタム屋のキーボード選び その1 - どんなキーボードが欲しいのか
2018/04/07
大量に文章を入力していると指が痛くなってきたことから、キーボードの新調を検討しました。
親指シフト入力とキーバインドカスタマイズを前提にキーボードを選びました。まさかの消去法で選ばれたのは憧れのあのキーボードでした。
今回はまず、キーボードに求める条件を整理してみましょう。
選定ポイント
キーボード選定に当たって、コンセプトと前提条件を選定しました。
今までのキーボード
これまでメインで使ってきたキーボードは、Lenovoのトラックポイントキーボード(先代モデル)です。
最大の特徴は、ThinkPadと同じトラックポイントが内蔵されていることです。もう8年もトラックポイント生活を続けているので、ポインティングデバイス有線でこれを使ってきました。
ThinkPadのキーボードを取り出してガワに入れただけの構造(実際にThinkPadのキーボードと入れ替えられました)なので、キーボードのタッチはThinkPadとほぼ同じです。ガワがプラスチックで軽い分ThinkPad程の安定感はありませんが、膝上でも使いやすいというメリットもあります。
キーボード部分はパンタグラフ構造のメンブレン方式で、ノートPCのキーボードとしてはかなり優秀なタッチ感ですが、長時間入力しているとだんだん底打ちで指が痛くなってきます。
予算
ハードウェアとしてのキーボードの重要度は十分認識しているつもりです。
PCを使用するのはあくまで人間です。ディスプレイ,キーボード,ポインティングデバイスの使い勝手が悪ければ、いくら高性能なマシンでも作業の効率は落ちてしまいます。
それに、私は現在一日の大半をPCの前で過ごしていて、作業のほとんどはキーボード入力です。つまり、日常で最も長時間触れている物体がキーボードです。そこをケチって一体どこにお金をかけようか。常識的範囲の価格であれば多少高価であっても、能率が上がるのであれば問題無いと思います。
ということで予算は数万円くらいですかね。さすがに10万円を超えるとなると、その価格はキーボード品質ではなく希少さや販売数の少なさが理由になってそうなので、そこまで出す気はありません。
コンセプト
以下の3点を重視することにしました。重要度順でもあります。
楽
何よりも重要なことは「楽」であることです。疲れとも関連するところではありますが、楽な運指や楽なタッチで快適に入力できることです。いくら疲れにくかったり速かったりしても、楽に入力できなければ楽しくたくさん入力することはできません。
私が特に重視することは、ホームポジションからの移動が少ないことです。もっと言えば、ホームポジションだけですべての入力ができるのが理想です。とは言っても様々なキーバインド(ショートカットキー)をAutoHotkeyで設定しているので、ある程度はソフトウェアで対応可能だと思います。
疲れにくい
どんなに速く打てる配列であっても、疲れたり痛みが出るようでは長時間打つことができません。単位時間当たりの入力文字数を増やすことができても、一日のうちでタイピングを継続できる時間が短ければ、一日に打てる文字数は減ってしまいます。タイピングゲームではなく実用入力が目的なので、大量の文章を長時間持続的に入力できることが肝要です。
ピンポイントの効率を求めて全体の効率が犠牲になるようではダメです。遠くにある安いガソリンスタンドまで無駄にガソリンを使って走るようではいけません。
速い
速いことももちろん重要です。もちろん実際に速く打てるかは利用者(つまり私)の能力次第です。キーボードに求めることは、高速入力に対応可能であるかということです。
高速打鍵でロールオーバーが発生しても取りこぼさないかとか、速い打鍵に対応できる押し心地であるかということです。キーの戻りが遅かったり、キーが重かったりすると高速打鍵はしにくくなると思います。
キー配列
キー配列をかなりカスタマイズしているので、キーの並び方にもこだわりがあります。
まず、親指シフト入力(飛鳥配列)なので、押しやすい親指キーが左右に必要です。さらに、親指シフト用キーとは別にカスタマイズ用のモディファイアキーが右に2つ、左に1つ必要です。つまり、左右合わせて5つの親指キーが押しやすい位置に必要だということです。
なお、右手を1列右に置く(Orzレイアウト)なので、ホームポジションは人差し指がFとKです。
鶏が先か卵が先か、ThinkPadのキーボードでカスタマイズしてきたからか、ThinkPadキーボードの並びがちょうどいいです。
この並びだと無変換から右Altまでがちょうど良く押しやすいです。左Altはあまり使わないので問題なし。
したがって、無変換がDFの間、変換がJ真下、ひらがながK真下、右AltがL真下が理想です。右側の並びは該当するものがかなり少ないんですが、右Alt(またはその位置のキー)が;直下より右にあると押しにくいのでアウトです。
親指シフト界隈で聞かれる「B割れ」とか「N割れ」(スペースキーと変換キーの境目がどこにあるか)にはあまり興味がありません。スペースキーの左端しか押さないからです。NICOLA配列では手首を浮かせて手を左右に動かすので親指キーに幅が必要でしょうが、飛鳥配列では親指をほとんど動かさなくても打ててしまいます。私は手のひらをパームレストに乗せたままタイプするので、親指キーは端が押しやすければそれで十分です。
親指キー以外の並びについては、文字キーの並びが常識的であれば他はカスタマイズしてしまうのでだいたい何でもOKです。左Winや右Shiftは結構使いますが、右CtrlやPrtScはキーバインド実行でも問題ありません。F1~F12、カーソルキー、PageUp/Downなどのキーも、あればいいけど、無ければキーバインドで使います。
テンキーはキーバインドで用意するので不要です。あっても邪魔なだけです。
その他の条件
キーボード選定に当たっての、利用環境の前提条件を整理します。
- ほぼWindows PCのみ。ノートPCとデスクトップPCの両方で利用。ただ、ノートPC(ThinkPad X1 Carbon)内蔵キーボードも状況次第で使い続ける。
- 有線でも問題ない。ただ、ノートPCにPS/2端子は無いので有線ならUSB。Bluetoothは遅延と切断が心配。
- 家での利用がメインだが、カフェや図書館に持っていくことも想定。つまりうるさくなく、あまり大きくないこと。
- 親指シフトなので、同時押しが楽に押せる方が良い。つまりキー荷重が軽いこと。
- 膝の上に乗せて使うのに不自由しないこと。膝上キーボードの方が疲れにくい。
- できればトラックポイントが欲しい。
実は最後の1個が強烈に厳しい条件なんですが、それは別途解決することにします。
まとめ
何を買うにしても、選択肢が多い場合には自分が求める条件を整理してみることが大事です。評価が高いからとか安いからとかで選んでしまうと、目的をまったく果たせない無駄な買い物をしてしまう可能性がありますからね。
キーボードのカスタマイズをかなり大がかりにしていることもあって、私がキーボードに求める条件はかなり厳しいものになってしまったと思います。これを満たすキーボードが無いなら、今のままトラックポイントキーボードを使い続けるしかないと思います。
次回は条件に見合うキーボードを選定していきます。