HDD/SSDの1台運用でも記憶域プール(シンプル)にしよう!速度変わらないよ!
2018/04/07
新しいHDDやSSDをWindows PCに追加する際、直接使わずにとりあえず記憶域プールにしてシンプル(回復性なし)で運用した方がいいんじゃないの? という話です。記憶域プールにしても特段のデメリットがないよ、ということです。
記憶域プール
Windowsでデータ用ドライブを運用するにはいくつかの方法があります。ローカルドライブではないNASなどは除外するとしても色々あります。
方法 | 冗長性 | ドライブサイズ | 後から ドライブ追加 |
デメリット |
---|---|---|---|---|
そのまま使う (1台用のHDDケース含む) |
なし | - | - | データロスの危険 |
マザーボードの機能で RAIDを組む |
あり (RAID0除く) |
同一 | × | マザーボードの 故障時が大変 |
RAIDカードに繋いで RAIDを組む |
あり (RAID0除く) |
同一 | × | 価格が高い RAIDカードの 故障時が大変 |
RAID機能付きHDDケースで RAIDを組む |
あり (RAID0除く) |
同一 | × | HDDケースの 故障時が大変 |
Windows上でソフトウェア RAIDを組む |
あり (RAID0除く) |
同一 | × | Windows専用 速度の懸念 |
Windows上で 記憶域プールを組む |
あり (シンプル除く) |
バラバラ可 | ○ | Windows専用 速度の懸念 歴史が浅い |
何が重要かって、扱うデータ量が増加する(基本的に人が扱うデータ量は増える一方)ことを考えると、後からドライブを追加できる方がいいということですよ。
それにデータロスのリスクを考えると冗長性無しなんて危険ですよね。RAIDは比較的信頼性の高い冗長性の持ち方ですが、基本的にシステムを組む時点でHDD/SSDを必要な数だけ用意しないといけませんし、ドライブサイズはすべて同一にするのが基本です。
記憶域プールを組めば、後からドライブを追加することも、冗長性を変えることも用意です。
記憶域プールの他の色々なメリット/デメリットは他の記事に譲るとして、今回は「新しいデータ用ドライブを買ってきたときに、そのまま使うより記憶域プールを使った方がいい」ということをお話しします。
1台運用の場合
データ用HDDがいっぱいになってきた。新しいHDDを買ってこよう。あるいは余っている空のHDDを繋ごう。こういう場合にはとりあえず普通にフォーマットして直接ドライブを使う人が多いでしょう。
でも1台で運用する場合でも記憶域プールを使うことをオススメします。
- 記憶域プールにしておけば、将来のHDD追加時にドライブを拡大できる
- 記憶域プールにしておけば、将来のHDD追加時に冗長性を持たせられる
- 記憶域プールにしても速度はそんなに変わらない
上2つは記憶域プールの特徴です。でもこの将来性のために速度がガクッと落ちるようではダメですよね。
速度比較
遅いドライブで比較しても差が出にくいと思うので、速いドライブで比較してみましょう。
直接使った場合
PCI-Express 2.0x4接続のSSDを普通に直接認識させてNTFSフォーマットした場合。システムドライブに使っていますが、その差は大勢には影響ないでしょう。
記憶域プールを使った場合
同じくPCI-Express 2.0x4接続のSSDを使って、1台だけのプールを組みます。シンプロビジョニング(動的ボリュームサイズ)、NTFS、シンプル(回復性なし)です。
これで速度を測定してみると、先ほどの直接認識とほとんど差がないことが分かりました。
ほとんど誤差や個体差のレベルですね。ほとんど速度差が無いのに、後々にドライブ追加や冗長性を持たせるなどの機能・容量拡張が可能だとなれば、使わない手はありません。
しかも記憶域プールの情報は(OSやマザーボードではなく)ドライブ自身が持つので、パソコンを買い換えたりOSを入れ直したりしても該当のドライブを繋ぐだけで認識してくれます。
問題点
記憶域プールにすることのデメリットは二つ。
Windows 8 以降でしか使えない
記憶域プールがクライアント版(サーバー版でない)Windowsに搭載されたのは8からです。まだ7を使っている人は使えません。8や10で運用しているシステムを7にダウングレードした場合にはドライブを認識できなくなります。またそもそもWindowsの機能なので、MacやLinuxでは認識できません。
障害が起きた際の復旧に関しては、最近では記憶域プールに対応した復旧ソフトが出てきているのでさほど心配する必要はないかと思います。私はR-Studioというソフトでサルベージしたことがあります。
ちょっと特殊なことをしようとするとコマンドが必要
単純に記憶域プールを構成するだけならGUI上でできます。でも「デュアルパリティの記憶域を作りたい」とか「パリティの列数を変えたい」などになるとコマンド(Powershell)が必要になります。
痛いのはドライブの故障などでプールからドライブを外すときの作業もコマンドでないとできないことです。故障だけでなく、「足を引っ張ってる遅いドライブを離脱させよう」なんてときもコマンドが必要になります。
まぁ全体的にハードルが高いということ。自分で調べながら対処できる程度の能力がないと運用していくのは厳しいと思います。
まとめ
記憶域プールを使い始めて1年ほどになりますが、なんでもっと早く(Windows 8を導入してすぐに)使わなかったんだろうというほどに便利かつ安心です。今ではシステムドライブ以外すべてのSSD/HDDを記憶域プールにして運用しています。